多くの会社で、
「難しい加工はいつも年配の方にやってもらってる」
のが日常のようです。
その方が退職されたらいったいだれが加工するのでしょうか。
中間的な人材が育ってないように思います。技術は少しずつ上達するもので、
交代したからすぐに出来ると言うものでもないと思います。
本来なら、順番に後輩に伝えるべきものでしょうが、
年配の方にもそれなりの理由があるみたいです。
私の推測ですが、
「この工場で難しい仕事が出来るのは、俺だけだ!」
という状態を維持しておけば、肩たたきにあわずにすみます。
逆に、後輩を育ててしまえば、雇い続けてもらえる確率が
下がってしまいます。
経営者側から見れば、人件費をさげたいですから、年配者を
若い人に交代させたいでしょう。
私は、このことが技術伝承が止まってる大きな理由だと思います。
よく年配の人が、
「技術は口では伝えられない。背中から盗むものだ」
と言います。
言い訳(保身)です。(下記参照)
私は、二代目ですが、親父よりしっかり伝授してもらってます。
親子ですので最善の方法でわが子に伝授してくれたことと思います。
確かに、全てを言ってもらえるわけではありません。
チラッとヒントをくれたり、ある時は、
「自分で考えろ」
と突き放されたりしました。しかし、
仕事に対する接し方や機械加工の基本は、きびしく、しつけられました。
そして、ある段階からは、
「これやってみろ」
とやらせてくれました。
ほんの少しの「コツ」でよい品物が出来たり出来なかったりします。
その「コツ」を後輩に伝えようとしてるか、いないかが大切です。
口では伝えられないのではなく、伝えようとしていないのです。
経営者側の方は、現場のことを知らない方が多いので、そういうものだと
思わされてることが問題解決を遅らせてると思います。
記
一例を挙げましょう。ある料理の味付けのコツが、
「湿度が高い時は塩を少し多めに入れる」
だとします。
後輩を指導しようと思えば、
「湿度の高い時は、ほら!これくらい塩を多く入れるんだ」
と一度見せてあげればいいだけです。
後は、湿度と塩の量の関係は経験を積んで自分の腕で覚えていけるのです。
この
「湿度の高い時は、これくらい塩を多く入れる」
ことを後輩に言うか言わないかで、育てようとしてるか、いないかがわかります。
口では伝えられないのは、湿度と塩の微妙な関係で、
「湿度が高い時は塩の料を少し多くする」
これは口で言えます。これが後輩の指導のよい例ではないでしょうか。
経験で覚えろではなく、基本をしっかり指導し、段階に応じて、
少しづつコツを伝える。今これをやってない年配の方が多いです。
繰り返します。
私は、親父よりしっかり伝授してもらってます。
「技術は口では伝えられない」
は、
言い訳(保身)です。
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